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コラム

益子焼を選ぶ vol.2~窯元・陶芸家のお店~

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益子焼を選ぶ vol.2~窯元・陶芸家のお店~

明窯



 益子の城内坂通りを進んだ先の里山通りに面した店舗の「明窯」。
井上さんご夫婦が長年営み全て自家製の陶器を販売しているお店です。陶器販売がメインですがシフォンケーキとドリンクの提供もしています。

 益子の土と伝統釉薬そして自家製の灰釉を使って製作を続けて約50年。
暮らしの中で日々使うものとして食器の使いやすさを長年考えて制作しています。カップ一つ見ても持ちやすい形、大きさと重み、安定感や収納のしやすさ、レンジや食洗機も使える、など使い手目線が汲み取られています。急須は使う人数に合うサイズを段階的に用意し、洗った後の水切りのしやすさも考えられています。職人が使い手のために作る細かな心遣いが焼き物を通して感じられます。

 使う上で困らないという機能面に加えて、作り手の一工夫が伝わってくる温かみある器たちは多くのファンに長く愛用されています。長年使って割れてしまったからまた同じものを買いに来たという遠方の方も多いとのこと。ぜひお店で手に取ってみてはいかがでしょうか。

明窯 店舗情報・地図


えのきだ窯



 創業から100年余りのえのきだ窯は、道祖土(さやど)交差点から徒歩で5分ほどのところに店舗と工房を構えています。店舗の建物は元細工場(ロクロが並ぶ場所)の家屋に大きな窓ガラスが組み込まれ、古い建築を生かした温かみのある明るい空間です。
店内では4代目の榎田勝彦さんと5代目夫婦(智さん・若葉さん)が作る器が並びます。

 勝彦さんの器は伝統的な技法と形の作品。日頃の食卓でも非常にマッチし、使いやすい品々です。若葉さん(益子焼伝統工芸士)の器は大きなドット模様やストライプの柄が特徴的ですが、線刻やロウ抜きなど伝統的な技法で表現しています。智さんは伝統釉を生かして飛びカンナやハケ目などの表現が特徴的です。えのきだ窯で代々力を入れているものの一つは急須作り。3代目の時代には茶器セットで昭和天皇から七勲等青色桐葉章を受章されたとのこと。高い技術で重さのバランスや形状にこだわった美しい急須が世代を超えて伝えられています。

 大阪出身で音楽好きの智さん(写真)は代々の窯の技術を継ぎながら、店内やイベントでのDJとしても活躍しています。代々の工房であった建築で音楽とともに心地よい時間を楽しめる店内。えのきだ窯を中心に地域内外の人の集う場が生み出されています。

えのきだ窯 店舗情報・地図
えのきだ窯 HP
えのきだ窯 Instagram


岩下製陶 古窯いわした



 「古窯いわした」は慶応2年創業の歴史ある益子焼窯元・岩下製陶が営む販売店です。里山通り沿いに販売店、工房、登り窯を構えています。通り沿いの店舗では、5代目当主岩下哲夫さん(写真・下)の器を中心として数人の陶芸家の作品を販売しています。入り口付近には伝統的な釉薬のカップやお皿、店舗内にはお猪口や徳利など酒器が並びます。そして一番奥には焼き物の動物たちのオブジェがずらりと並び圧巻です。

 工房には関東最大の登り窯と明治時代から残る登り窯(計2基)が保存されており、無料で見学することができます。哲夫さんと6代目が宗晶さんが作陶を行っています。使いやすく安定感のある器を作る哲夫さんは、益子焼の伝統釉薬を大切にしながら、新しい釉薬の表現にも日々研究を重ねています。
 宗晶さんも益子の土や伝統釉薬の研究に力を注ぎ、併せてオリジナルのバクなど独自の表現を追究されています。宗晶さんは2022年にえのきだ窯の榎田智さんとともにイギリス、セント・アイブスのリーチ工房を訪れ技術を学びました。若い世代が濱田庄司とゆかりのあるイギリス陶芸と技術交流を続けています。陶器市の際には「古窯いわした広場」として多くのテントが並び、宗晶さんの作品も販売されるので陶器市でもぜひお見逃しなく。

岩下製陶古窯いわした 店舗情報・地図
岩下宗晶さん Instagram



取材・文・写真|益子町地域おこし協力隊 村越慧 2023
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